旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

荒野のオオカミ

雪の舞う山の中、ふと下を見ると雪と地が作り上げた1つの物語があった。
冷たい雪に、温かい大地。
彼らが作ったこの足跡。
これを見て「あ、オオカミだ」と思った、
アラスカの荒野で見た何百という彼らの足跡。
テントを張る所にはいつも彼らの足跡があり、姿はなくてもいつでも彼らの存在が僕の中にあった。
何度か聞いた彼らの遠吠え。
月の下で焚き火にあたり、ユーコン川に宿る月夜を眺めていると、森の奥深くから響いてきた、荒野に染み込む彼らの声。
感動して身が震えた。
僕の中で今も眠る彼ら、アラスカのオオカミ達が、奥会津の名も無き山のなかで、よみがえってきた。
旅の日々を思いだし、体験したありとあらゆることが顔を覗かせてきた。
日々を生きていて、ふとした光景の中に宿る豊かさ。
この日体感したものは僕の内に沈みこみ、いつの日か何かのきっかけで荒野のオオカミの様に出てくることだろう。
荒野は、ユーコン川は、かけがえのない多くのものを与えてくれた。
今を生きる地、奥会津の山々は日々多くの物語を与えてくれている。
山々は物質的なものだけでなく、豊かな心も人生そのものも育んでくれる。
山々は命というものを育んでくれる。

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命の授かり物

この日、僕らは山の神々から、大きく逞しく強く、そして尊い、2つのシシの命を授かった。
昭夫さんは車をとりに行き、僕は森の中で待つ。
杉の枯れ葉、枯れ木を集め、火をおこした。
徐々に炎が力を増していった。
燃える香りが漂い、パチパチとはぜる音が、雪の森の中に響き渡る。
辺りに温もりがひろがり、手をあてると、冷えきった指先に生気がもどってきた。
彼らの命が僕の中に入ってきた。
炎を眺めながら、さまざまなものが内で渦巻いた。
雪の舞う森のなかで灯る小さな炎は、心も暖めてくれた。
長い時間をかけて生きてきた山の命を、一瞬で燃やす炎。
その炎を、多くの命を宿し、僕らは次を生きて行かねばならい。

焚き火、それは山からの授かった命。

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昭夫さんの薪小屋。
解体した小屋の廃材に、空き家を整理掃除して出てきた屑木、切られて山に放置されていた杉の木、枯れて倒れて道を塞いでいたナラの木…
埃にまみれ、頭をぶつけながら空き家から運びだし、汗をかきながら積み上げ、ひたすら斧を振り下ろし、一発一発刃が木に食い込む度に、感動が腕から瞬時に全身に響き渡ってゆく。
チェーンソーの使い方に、鉈に斧の研ぎ方、薪の割り方を叩き込まれながらの、それは満足のゆく、楽しい薪作りの日々だった!
古きものの命に生かされて生かす、それらが詰まった昭夫さんの薪小屋
薪小屋に薪はまさにロマンだった!
それを燃やして生きるということはロマンをそのものを生きることだ!
 
僕は冬を目の前にして、大家さんから薪ストーブ設置を断られてしまい、今年の冬も薪と共に過ごすことは出来なくなってしまった。
薪ストーブに惚れて憧れ、それらがあって北の地の暮らしを始めた様なものだったので、それを聞いた時には、崖からまっ逆さまに落ちる様に落ち込んだけれど、冷静になれば大したことでもなかった。
それは冬のあの寒さからの、また一緒に暮らそうという誘い声なのだろう。 
有難いことにも、それが薪ストーブへの思いをまた更に大きく育てゆくだろう!
そしてじっくり選ぶ時間もまた与えられた。
あの寒さの中にあるもの達。
冷たい水に潜むイワナの様に、寒さの中にしか生きられないもの達がいる。
今年も楽しく深い冬の日々を宜しくお願い致します!
沢山のもの達と出会っていこう!!

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岩と松の呼び声

雪のちらつく峠を越え、沢沿いに車を走らせていると、大きな岩の上に座る、松の大木と出会った。
厚い雲に覆われる空に、薄暗く、寒々とした空気、冬の荒涼とした風景のなかで、その2つは異質な存在感を放ちながらじっとそこにいた。
土の無い岩の上に根をおろし、長い年月、命を燃やし続ける。
その中に宿る、命の強さに心を打たれた、
暫くの間、僕らはその場に引き留められた。
去り際、缶やらビニール袋のゴミが辺りに落ちているのが目についた。
こんな素晴らしい場に、こんな大きな命が生きる場で、何も感じず、平気でゴミを捨てていってしまった人達がいる。
彼らの暗く寂しい心と、その心が染み込んだゴミとが、この場の力を壊していた。
岩に木は動かず、ゴミを拾うことも動かすことも出来ない。
ただただ、待つしかない。
彼らに何故この場に引き留められたのか、彼らが僕らに何をしてほしかったのか、その理由の1つがそれだったのだろう。

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会津のフリーペーパー‘’会津嶺‘’

以前僕が書いた詞が、会津のフリーペーパー‘’会津嶺‘’12月号に載りました!!
やったー!
Facebook等でちまちま発信するよりも、断然多くの方の目に留まることでしょう。

この短い詞を読んで、たった一人でも多くの人が、地球という僕らの星に意識を向けて、少しでも自らの生き方を見直して、心を、命というものを思って大切にしてくれたならめちゃめちゃ幸せで、動物も魚も虫も草木も大地も森も海も川も空も風も、地球は大喜びです!!

毎日毎日違和感なく使っている洗剤やありとあらゆる薬品類、物を買う度に付いてくるゴミ、毎日食べている食物、テレビに自動販売機…皆だれでも簡単に普段の生活のなかで、自分自身の為、家族や友達、大切な人達の為、他の国や地で暮らす人々の為、他の生き物達の為、この星の為に出来ることは限りになくあります!
そんな思いと意識を思い切り注ぎ込んで書いた詞です。

地球の為にこれからもめちゃめちゃ生きていきます!
皆、特に同世代の皆も一緒に力合わせて生きていこう!
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干し柿

干し柿5日目。
ぶら下がって揺れる彼らに、今日の調子はどうだ!カビてないか?と、話しかけながら様子を見ることが、日々の生活の一部となった。
毎日期待と希望を吸収して乾いて縮み、成長してゆく小さな木の精達。


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雨の忘れ物

 

雨上がりの森を歩く。
雲が空を覆い、木々の葉はすっかり落ち、遠く連なる山々は茶色に染まり、灰色の空気が流れていた。
ほんの一瞬雲が切れ、その隙間から陽が顔を出した。
それはこの日初めて浴びる、陽の光だった。
その瞬間、森のあらゆるところがキラキラ輝いた。
枝に垂れる、雫が陽を浴びて輝いているのだ。
小さな一粒の雫。
その小さな雫の中には、大きな世界があった。
回りを取り囲む広大な山々が映りこみ、光をもたらしていた。
辺りを見渡すと、世界を宿し、輝くそんな雫がそこらじゅうにあった。
再び空は雲に覆われ、陽は消えて、森の輝きも無くなった。
その瞬間にしか見られない世界だった。
もし一日、一時間、一分でもずれていたら、この世界の中に入ることは出来なかっただろう。
ご飯を食べているとき、寝てるとき、本をよんでるとき、人と話していてる時、森では、山では、海のなかでは、この世界では一瞬一瞬命の物語が刻まれている。

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