旅する蜂ブログ

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自然を愛する男の日記 現在、カナダ・アラスカのユーコンの荒野で生きている!

登山

ユーコン川3週間目、ドーソンへ到着

3週間ぶりに携帯を開いた。小さな画面は、今まで常に回りに解き放っていた僕の感覚を瞬時に吸い込んでいく。全くこの機械は恐ろしいものである。ようやく抜けきったものの、早くも僕は現代器機の毒に蝕まれてゆく。 5月24日の昼過ぎ、僕はユーコン川下りの…

春の息吹と共に

ラバージ湖の畔で1週間、氷の溶けるのを待っていた訳ではあるが、ただ単に氷が溶けるのだけを待っていたのではない。僕には氷の他に、待っていた別のものがあった。 飛行機から降り立ち、外に出てまず目に入った物は、天を突き刺すかのようにとんがったトウ…

氷は消え、ついにカヌーを浮かべるときがやって来た

パラパラと降っていた雨は止み、それに代わるように風が吹き始めた。風は徐々にその強さを増していった。全てを吹き飛ばすかのように荒れはじめた。僕は堪らず岩影に身を隠した。風は土埃を舞いあげ、木々をユサユサと揺らし、湖の湖面上に大波を生じさせて…

森の中で待つ

短い夜が明け、樹上から鳥達の鳴き声が響き渡る。それを聞いて僕は目を覚ます。テントを出、すぐ目の前に広がる湖へと歩いて行く。凍てついた水のなかに入ってゆき、そして顔を洗う。冷たい水をかぶり、目が一瞬にして覚める。そして顔をあげ、広大な湖すを…

ユーコン川へ、出発だ!!

棚を開け、静かに眠っていた分厚いアルバムを取りだし、1ページ、また1ページと開いていった。僕がまだ物心つく前の赤ン坊の頃から、小学高学年位までの写真が順々に張ってあった。僕の回りには、いつでも自然が写っていた。 親に連れられて、僕は幼い頃か…

雪山の毛虫

その夜、空に雲は無く、近くに夜の輝きを霞ませる人工光も一切なかった。 透き通った空気の中、無数の星々が夜空一面をびっしりと覆い尽くしていた。 時々吹く微風が笹の葉をカサカサと揺らし、山の稜線の窪みに張られた小さなテントの中にスー…と入り込む。…

北米の広大な荒野へ行こう!!

静まり返った真っ暗な部屋の中、暖かく心地の良い布団にくるまれながらも僕はなかなか寝付くことが出来ずにいた。噴火する山の如く、マグマの様に心の奥底から興奮がゴボボコと湧き出てくる。 こういう日が何日も何日も続いている。 自由のききにくく重たい…

越後三山縦走 ~所長からの選別~

その日、東京都世田谷区のある建物の中は普段よりも荒れ狂っていた。電話は止むことなく鳴り響き、FAXに印刷機は休むことなく次から次へと紙を吐き出し、社員は皆PCの画面を凝視しながらカタカタと絶え間なくキーボードを打ち鳴らして、舞い込んでくる…

北アルプス・穂高岳と借地権

一体この土地は誰のものなのだろう?ふと浮かんだ疑問は、初めはそんな素朴なものであった。だが考えるにつれてその素朴さは消えて複雑なものになっていった。 いや“誰の”というのもよく考えてみればおかしな話ではないか。土地とはそこに住むあらゆる生き物…

日光旅 僕らをひっ捕らえた看板

思えば、都会に住む僕は看板というものに惹かれる事は全く無い。店がぎっしりとひしめく中、店は人の目を引くため、看板にど派手な装飾を施す。他の店はそれに負けじとさらに派手な装飾を施し、また他の店はさらにさらにそれに負けじと・・・何処までも何処…

日光旅 枯れ果てた植物園

山形県米沢から栃木県日光市まで遥々伸びている国道121号線、その道路沿いの森の中に上三依水生植物園はひっそりと身を据えていた。約22,000平方メートルの園内に植えられた約300種の花々は春先から夏にかけて一斉に花開き、訪れる人の心を癒す。 しかし僕ら…

日光旅 森に呼ばれた朝

今思えば、あの引き寄せられるような感覚は凄いものであった。それはなにか見えない紐でぐいぐいと引かれているかのようであった。 10月16日の日曜日早朝の事であった。僕は叩き起こされたかのように突然はっと目が覚めた。皆まだ気持ちよさげに眠っている。…

日光旅、栃木県の集落を訪れて

短かった。実に短い旅だった。しかしこの旅は、この上なき良い出会いにそして深い感銘を受けた旅でもあった。その地を離れる時に感じた悲しみは、今までにあまりない程の大きさであった。残酷な鉄の塊は感傷に沈む僕を物凄い速さでその地から運び去った。一…

温泉大国・米沢の旅館に忘れ去られた者達

それはつい昨日10月13日の事だった。 「おいどうした八須君!お前・・・このままじゃ始末書もんだぞ・・・」部長は苦笑いを見せながら言った。 「ごめんなさい、2日前から見当たらないんです。絶対にどこかにあるんですが・・・」 僕は答えた。 「そりゃ~絶…

東北・会津に佇む地味な山。その名も三岩岳!

10月1日、初秋の会津は灰色の雲で覆われていた。穏やかな陽光を浴びることが出来ず、ブナの木々達はなんだか悲しそうに枝葉を垂らしている。僕ら3人はそんな生い茂る木々の下を通り、山の上へ上へと目指して歩いてゆく。 標高2,000m程の三岩岳。この山の…

飯をくれ!!

東北の旅も半ばを迎える頃、僕らは森の中を車で駆け抜けていた。 窓を開け放ち、葉の吐き出す新鮮な空気に酔いしれながら、のんびりと外の流れる景色を眺めていた。 (写真は窓が空いてないときです) そんな時、ふと僕らの目がある不思議なものを捉えた。 …

羽ばたいた彼女

それは9月の半ばごろからか・・・彼女は必死にしがみ付いていた。 葉は雨粒に打たれてバッタバタと激しく上下し、風に吹かれて四方八方に揺れ動いた。足を離してしまえば、たちまち彼女の軽い体は雨嵐の中へ飛ばされてしまうことだろう。 彼女は振り落とさ…

増えるスリッパ

何故スリッパが増えているんだろう… 初めてそれに気が付いたのは、1人温泉から部屋へ戻った時だった。 夜はもうすっかりと更けており、辺りを真っ黒な世界が隙間なく覆っていた。 僕は露天風呂から上がり、館内へ入った。 廊下は薄暗く、電球がオレンジ色…

甲府のじーさん

その日、僕は尿意を覚えて目を覚ました。 いつもやかましい目覚まし時計に叩き起こされている僕にとって、それは珍しい事であった。 目を開け、視界に映った風景もまた見慣れたものではなかった。 普段ならば6畳程の狭い部屋で目覚めるものだから、いつも…

救われた人生

山には秋が来ようとしていた。 木々の葉が少しずつ赤く、黄色く色づき始め、どこからか涼しい風がサワサワとやって来る。 燃える様な夏を耐え忍んだ山に住む生き物たちは、心地よい森の中で踊り、歌い、秋の到来に心を躍らせる。 そんな陽気に溢れる森の中に…

森の中の化け物。

奴らに囲まれた時、俺は悟った。 俺の命ももうここまでか・・・。と 奴ら恐ろしくでかかった。 今まで見た生物の中でも、こんなにでかいものは見たことが無い。 俺の体の何倍・・・いや何十倍もあった。 見上げるとそれはまるで大木でも見上げている様であ…

長老のたたり

人が滅多に寄り付かない深い深い山奥にある一匹のイワナが居た。 そのイワナの住む沢は両側を山に挟まれ、深い谷となっている。 沢の両脇に鬱蒼と生い茂る草木が陽の光を遮り、昼間でも薄暗くひんやりとしている。 川の流れる水音がサラサラと途切れること…