旅する蜂ブログ

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母なる地球を、自然を愛する!!

私生活

小屋を建てる地

僕は自転車から降りて辺りを見回した。滅多に車の入らない地は静けさに満ちていた。川の流れる音が絶えず響き渡り、気分を静めてくれる。この場所を訪れるのはこれで3度目だった。訪れる度にこの場所が好きになってゆく。 そこは、部落から100m程離れた山に…

地球と大地

大地 荒野の旅で僕は靴を脱いだ。僕は大自然の中で常に裸足だった。幼少期、僕はいつでも裸足で過ごしていた。小学校に上がると、僕は靴を履くようになった。それ以降24歳まで、僕は靴を履き続けてきた。僕は幼少期の自然体に戻りたかったのだ。靴を脱いで…

静かな生命

僕はキノコに飢えていた。 というのも、春~秋の半年間、僕はカナダとアラスカの荒野を1人で旅しており、キノコを殆ど食べていなかったからだ。日本に帰国後間もなく、キノコに飢えていたそんな僕に友人から声がかかった。 「会津にキノコ狩りに行かない?…

素晴らしい朝

夜明け前だった。土手の上に上がり、振り返ると僕は固まった。見事なまでのオレンジ色の朝焼け空が、町の上に広がっていた。こんなに綺麗な朝焼けは滅多に見られない。あまりの美しさに僕は見とれた。体中が嬉しさに満ちていた。 「おはようございます。綺麗…

運命の地

僕は窓の外を見た。木々の隙間から見える夜空には無数の星が輝いていた。人里離れた森の中、音が無い静かな夜、街灯も騒音も無い、何ものにも邪魔されずに純粋な眼差しで見ることのできる夜空。綺麗だった。突然、心地良い静寂を破って携帯電話が鳴り響いた…

荒野に生きる男・アンディ

アラスカ・ユーコン川の岸辺の森の中で、僕はある1人の男と出会った。名はアンディーという。 アンディーは22歳の時1人、自由とロマンを求めてワシントンからアラスカへ渡ってきた。イーグル村という小さな村から20キロ程川を下った荒野の森の中に、自分で…

ドングリの森

家から2キロ程離れた場所に雑木林がある。そこは僕の少年時代の思い出の地。 小雨が降る中、今朝、その雑木林へ向かって歩いて行った。 土手に登るとはるか前方に雑木林が見えた。歩き、近づくにつれて心が踊ってきた。雑木林に足を踏み入れると、空気は重く…

ユーコン川・荒野の旅 ~旅の終わり~

ユーコン川を下り、国境を越えてアラスカへ入る時にやらなければならないことがある。入国審査である。 カナダとアラスカの国境といっても、川岸の草むらに、棒に付いている小さなユーコンの国旗がぱたぱたと揺れているだけだった。アラスカとの国境とはど…

ユーコン川・荒野の旅 ~マーシャル村に捕まる~

ツンドラの茶を飲みながら沈む夕日を家の前で眺める。 ブルーベリー摘みの歴史が刻まれた手 村の近くの湖で釣った夕食の魚、パイク ツンドラの丘を背に建つマーシャル村 丘は1000メートル程、5度程山頂を目指すも、情けなくも1度も登れたためしがない。 ~…

ユーコン川・荒野の旅 ~孤独への渇望~

鶏が、けたたましい一声を早朝の冷えきった大気の中にとき放ち、僕は目覚めた。久しぶりだった。鶏の鳴き声で目覚めるのは久しぶりのことだった。目覚めると共に、はるか昔の記憶が芽を覗かせた。幼い頃、祭りのクジを引いたときに鶏のヒナが当たったことが…

ユーコン川・荒野の旅 ~探し求めていたものが見つかった~

タナナ村を出てから5日間、空は分厚い雲に覆われ、太陽は姿を消した。降りしきる雨に打たれ続けること5日間。最初のうちは何とも無かったのだが・・・テントも毛布も寝袋も荷物が次々と湿り始め、次第に心も湿り始めた。4日を過ぎる頃になると、もう殆ど…

ユーコン川・荒野の旅 ~食料が尽き、フィッシュキャンプを回る~

食料が底をつきかけた。米やジャガイモ等の食料が ビーバー村での10日程の滞在中、日に日に乏しくなって行った。そして出航前には殆ど無くなってしまっていた。ビーバー村に店は無く、100キロ程下流の次の村・スティーブンビレッジにも、その村のまた100キロ…

ユーコン川・荒野の旅 ~ビーバー村~

太陽は陽射しを強めながらゆっくりと上昇し、テントを照らしていった。テント内はぐんぐん気温が上昇し、たまらず僕は目覚めた。体がうっすらと汗ばんでいた。僕はそんな汗と、しつこくまとわりつく眠気と共に急な砂地の斜面を降りて川岸に向かった。それは…

ユーコン川1ヶ月目 出発地から1300キロ程の村、フォートユーコンに到着

ドーソンに滞在し2日目の早朝、町を歩いてるときに僕は尿意を覚え、インフォメーションセンターの中へ入って行った。広い広間を抜けて、建物の奥にあるトイレへと繋がる薄暗い通路を歩いてる時だった。一人の男がトイレから出てきて僕の横を通りすぎた。髭…

ユーコン川3週間目、ドーソンへ到着

3週間ぶりに携帯を開いた。小さな画面は、今まで常に回りに解き放っていた僕の感覚を瞬時に吸い込んでいく。全くこの機械は恐ろしいものである。ようやく抜けきったものの、早くも僕は現代器機の毒に蝕まれてゆく。 5月24日の昼過ぎ、僕はユーコン川下りの…

春の息吹と共に

ラバージ湖の畔で1週間、氷の溶けるのを待っていた訳ではあるが、ただ単に氷が溶けるのだけを待っていたのではない。僕には氷の他に、待っていた別のものがあった。 飛行機から降り立ち、外に出てまず目に入った物は、天を突き刺すかのようにとんがったトウ…

氷は消え、ついにカヌーを浮かべるときがやって来た

パラパラと降っていた雨は止み、それに代わるように風が吹き始めた。風は徐々にその強さを増していった。全てを吹き飛ばすかのように荒れはじめた。僕は堪らず岩影に身を隠した。風は土埃を舞いあげ、木々をユサユサと揺らし、湖の湖面上に大波を生じさせて…

森の中で待つ

短い夜が明け、樹上から鳥達の鳴き声が響き渡る。それを聞いて僕は目を覚ます。テントを出、すぐ目の前に広がる湖へと歩いて行く。凍てついた水のなかに入ってゆき、そして顔を洗う。冷たい水をかぶり、目が一瞬にして覚める。そして顔をあげ、広大な湖すを…

ユーコン川へ、出発だ!!

棚を開け、静かに眠っていた分厚いアルバムを取りだし、1ページ、また1ページと開いていった。僕がまだ物心つく前の赤ン坊の頃から、小学高学年位までの写真が順々に張ってあった。僕の回りには、いつでも自然が写っていた。 親に連れられて、僕は幼い頃か…

最大の不安は・・・グリズリーである!

ユーコン川を下るにあたり、僕にとっての最大の不安はカヌーの転覆により川に投げ出されることでも、襲い来る蚊の大群でも,気の遠くなるほどの孤独でもない。 最大の不安はそうグリズリー…体重が僕の5倍以上にもなる大型の熊だ。 ユーコンに限らず、シベ…

ユーコン近づき難し

今日は情報収集の日。ユーコンに関する本を読もうと図書館へ行った。約100年前のゴールドラッシュ時代に金に惹かれ、北米大陸・ユーコンへ渡った人々の事やアメリカの不況が当時どんなものであったのかが知りたくなったのだ。 手にした本は20世紀のアメリカ…

1枚1円の名刺

雑誌の編集者と打ち合わせを行うにあたり、直前で僕は大事なことを思い出した。 名刺が無い・・・ 会社を退職して世を徘徊するハイエナ・・・いわゆるフリーになったはいいが、まだ名刺を用意していなかったのだ。 何とかして早く作らなければ!!そう焦っ…

便所の中の戦い

彼(以後K)がなんと言おうと、僕はそれに従うしかなかった。 その空間はKの支配下にあり、不動の権力を有する王の下、僕は小さな下人。 だからKの言いうことには決して逆らえないのであった。 そこはKのアパートであり、僕は彼に1晩泊まらせてもらっている…

雪山の毛虫

その夜、空に雲は無く、近くに夜の輝きを霞ませる人工光も一切なかった。 透き通った空気の中、無数の星々が夜空一面をびっしりと覆い尽くしていた。 時々吹く微風が笹の葉をカサカサと揺らし、山の稜線の窪みに張られた小さなテントの中にスー…と入り込む。…

北米の広大な荒野へ行こう!!

静まり返った真っ暗な部屋の中、暖かく心地の良い布団にくるまれながらも僕はなかなか寝付くことが出来ずにいた。噴火する山の如く、マグマの様に心の奥底から興奮がゴボボコと湧き出てくる。 こういう日が何日も何日も続いている。 自由のききにくく重たい…

引っ越し

幽霊が出ないこと、そして窓は南向き、この2つが何よりも大事であった。その2つに的を絞って借りるアパートを探していたのが今から1年9ヶ月前である。幽霊は大の苦手である。やつらは過去数度にやたり僕の心臓を干し柿の様に縮み上がらせたものだ。あの…

越後三山縦走 ~所長からの選別~

その日、東京都世田谷区のある建物の中は普段よりも荒れ狂っていた。電話は止むことなく鳴り響き、FAXに印刷機は休むことなく次から次へと紙を吐き出し、社員は皆PCの画面を凝視しながらカタカタと絶え間なくキーボードを打ち鳴らして、舞い込んでくる…

斎藤健太の幸せの1週間③

2014年4月~2015年1月までの期間、僕は日本に居なかった。日本から遥か遠く離れた地、ブラジル・アマゾン地域のある農場で、カカオやバナナをはじめ、熱帯の果物の収穫を毎日の生活の主にして生きていた。その農場というのがまた広大な森の深緑に囲まれた場…

斎藤健太の幸せな一週間②

訳が分からなかった。一体何があったというのだろうか・・・全く訳が分からなかった。斎藤はそんな奴ではない。ゴキブリを大量に飼うような奴ではないことは言われなくとも分かっている。ゴキブリ好きだなんて聞いたことも無いし、ましてや飼うなんてことは…

斎藤健太の幸せな1週間

訳が分からなかった。一体何があったというのだろうか・・・全く訳が分からなかった。僕は食べていた夕飯を中断してテーブルを発ち、暗い階段を駆け上って自分の部屋に入り込んだ。階段下から母親の声が聞こえた。 「いきなりどうしたの?」 その問いを無視…