旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

静寂

日が暮れた夜、僕は囲炉裏で小さな火を起こす。
暖かい炎を前にご飯を食べて生を受け、読書して世界中を命の危険も無しに思う存分旅し、時に夢想して色んな発見をし、1人を楽しむ。
ストーブとは違い、自然の発する音はなんと心地いいのだろう。
1日のこの時間が、僕は大好きだ。

田舎には何もないという言葉をどこかでいつか聞いたことがある。
後先を考えて、田舎に飛び込んで住んでみたけれど、決してそんなことはなかった。
田舎にあるものの1つ、それも雪の降る冬の田舎にこそあったものの1つが静寂だった。
深い深い深い深すぎる「静寂」だった。
(無音ではない。無音はこの世界にはないと思う)

外に出ると、珍しく月が照っていた。
降り積もった雪が一面、青白く光っていた。
少し深い雪の中は光がとおらず、真っ暗なのだろう。世界中を旅し続けている水が、この地で静かに休んでいた。お疲れ様。
遠くから小川の水の流れる音が微かに聞こえてきた。それは極寒の地で、清く流れる生命だった。
葉を落とした木々は死んだように佇んでいた。
あと少しで迎える春を月夜の中で辛抱強くじっと待っていた。
シンと静まりかえった世界だった。
その世界から色んなものが語りかけてくる。
縛られない心は自由自在。
どこまでもどこまでも広がってゆく。
静寂ほど心を豊かにしてくれるものはそうそうないんじゃないだろうか。

昔は、物を買い、何処かへ遊びにゆき、うまいものを食べ、お金を払って得られるもので心を満たそうとしていた。
でもそれで決して心は満たされることはなかった。
さらに欲望が燃え、乾くばかりだった。
お金を払って得られる幸福感よりも、この地で大自然の中で生きて得られる幸福感のほうが百万倍も大きかった。
壮大な大自然、その魂の幸福感は無限大だった。
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