秋のささやき
秋の山を歩く。
草や木の葉が赤に黄に染まっていた。
葉を覆う朝露が、陽に照らされて輝いていた。
朝の目覚めの喜びと、葉の散る間際の寂しさを吸収し、水は大気に散ってゆく。
森の様々な感情を含んだ水は、この世界の多様性の中に染み込んでゆく。
秋はどこか寂しくなる。 それは終わりゆく多くの命から伝わる感情からくるのだろう。 風に運ばれてくる香り、日に日にか細くなってゆく虫達の声、弱まる太陽。
世界が眠りにつこうとしている。
色々なことが渦巻いて、乱れていた頭の中が歩くうちにすっきりしていった。
葉が風に吹かれて散っていた。 散った彼らを懐深き大地は受け止めている。
散る間際に、こんなにも美しく輝き、山を染め、人々の心を癒してゆく草木の葉。
人生の終わりも、こんな風に散れたらどんなに幸せで最高だろう!
目指す場所の1つでもある。