旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

今は無きマタギの集落

集落を抜けると、道は、山の深き懐に包まれていった。
直ぐ真横は切り立った崖。
覗くと、はるか谷底を沢が澄みきった水で地を浄めている。
紅葉で燃える森をくぐってゆくと、何処からともなくカツラの木の甘い匂いが漂ってきた。
その香りは川となり、風に運ばれて山の隅々まで流れてゆく。
地と宙を流れる川は自在にこの星を駆け巡る。
身は軽くなり、心は風と共に森を流れていった。
やがて、山裾の開けた地に着いた。
人里からかけ離れた山奥の孤島。
師匠の師匠が生きていた地。
今は無き、マタギ達が暮らしいていた三条集落だ。
直ぐ目の前に流れる沢・風来沢が、昔から変わらぬ瑞々しい水音を、木々の間から投げ掛けてくる。
葉が舞い落ち、季節の終わりを一枚一枚が語ってくる。
ここで暮らしいていた多くのマタギ達は毎日毎日、川を見つめ、風に包まれ、流れゆく季節の山々と、この地と、ここで暮らしいていたもの達と心を通して生きていたのだろう。
集落跡には花が咲き、秋の実が実り、次の時代へと風と共に流れて生きていた。f:id:Yu-Ma:20181107194153j:plain