旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

荒野のオオカミ

雪の舞う山の中、ふと下を見ると雪と地が作り上げた1つの物語があった。
冷たい雪に、温かい大地。
彼らが作ったこの足跡。
これを見て「あ、オオカミだ」と思った、
アラスカの荒野で見た何百という彼らの足跡。
テントを張る所にはいつも彼らの足跡があり、姿はなくてもいつでも彼らの存在が僕の中にあった。
何度か聞いた彼らの遠吠え。
月の下で焚き火にあたり、ユーコン川に宿る月夜を眺めていると、森の奥深くから響いてきた、荒野に染み込む彼らの声。
感動して身が震えた。
僕の中で今も眠る彼ら、アラスカのオオカミ達が、奥会津の名も無き山のなかで、よみがえってきた。
旅の日々を思いだし、体験したありとあらゆることが顔を覗かせてきた。
日々を生きていて、ふとした光景の中に宿る豊かさ。
この日体感したものは僕の内に沈みこみ、いつの日か何かのきっかけで荒野のオオカミの様に出てくることだろう。
荒野は、ユーコン川は、かけがえのない多くのものを与えてくれた。
今を生きる地、奥会津の山々は日々多くの物語を与えてくれている。
山々は物質的なものだけでなく、豊かな心も人生そのものも育んでくれる。
山々は命というものを育んでくれる。

f:id:Yu-Ma:20181220123047j:plain