旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

引っ越し

冬が目前に迫るなかの引っ越しだった。
半年前に環と結婚したが、それぞれの事情があって今まで別居をしていた。
20キロ離れた家と家を、お互い行ったり来たりの通い婚。
それは非常にストレスが募る日々だった。
暮らしは落ち着かなかった。
そしてようやく、ようやく!!落ち着ける家にたどり着いた。

10月に入ってから引っ越し作業を始めた。
しかし新居は酷い状態だった。
あったのは、前に住んでいた人が残していったゴミの山。
壊れた冷蔵庫3台、洗濯機、テレビ等の家電製品に、大量のタバコの吸殻にありとあらゆるもの。
棚からはなん十個という瓶が出てきて、中は色とりどりのカビがぎっしり生えていた。
カビを吸い込まないように息を止めてそれらの中身を取り出す作業が一番辛かった。
30枚以上あった畳全てにもカビが生えていて、異臭を放ち、部屋全体が臭かった。
床は歪みまくっていた。
冬がくる前に、雪が降る前になんとかしなければならない。
とにかくやらなければならず、ゴミ掃除から始まった。
分別してから軽トラ一杯にゴミを積み、50キロ離れた処理場へと運んでゆく。
軽トラ5台分のゴミだった。
陽射しに焼かれ、手で触れた瞬間、チリと化したプラスチックがいくつもあった。
処理場でゴミの山を見たとき、込み上げてきたのは深い悲しみだった。
ゴミを出さない!そういう生き方、暮らしをこれから突き詰めていこうとお互い誓った。

ゴミが一通り片付き、綺麗になった部屋。
床下を覗くと、土台がボロボロだった。
それで部屋にいるだけで酔っちゃいそうなほど、床は歪んでいた。
痛んでいるところを一から取り替えてきっちり水平をとりたかったが、それをやったら間違いなく雪が降ってくるだろう。
冬を前に限られたわずかな時間の中でそれは出来ない。
なので痛んでいるところは今回は見ないことにし、臭いものに蓋をした。
地元の製材所に杉の無垢材を用意してもらい、隣町の製材所に運んで加工してもらい、家に運び、部屋の大きさに合わせて切って敷き詰めていった。
いつの日か時間が出来たときに、もう一回敷いた板を剥がして一から整えていく。

念願の薪ストーブもいれた。
環の「薪を燃やして暖をとるだけ、そんなもったいないことはしたくない」という声を聞き、調理が出来るクッキングストーブを選んだ。
家に運ぶ日、山の仲間達が東京から駆け付けてきてくれ、腰痛やら肩の痛み等を抱えてるにも関わらず、200キロをこえるストーブを皆で死ぬ思いで運び入れた。

まだ薪の用意が残ってはいるが、それはこれから全力でやっていくことし、何とか雪が降る前に、住める家に生まれ変わった。
心から安心した。
詰め込んだ荷物は住みながら少しずつ整理していく。
壊れたボイラーは取り外し、五右衛門風呂を作る。

1か月前に、環の友達の女の子がうちに遊びに来て、約1ヶ月居候した。
その間いろいろ手伝ってくれた。
そして新居のある集落が気に入り、来年から引っ越してくるそうだ。
また、近くの南会津に山小屋をもつ、家作りが趣味だという山の仲間が大工道具を持ってすっ飛んで来て、2週間泊まり込みで手伝ってくれた。
本当に本当に助かりました。
ありがとうございました。

新居は、住人は7人程しかいなく車もほとんど来ない、広大な山の高原にひそかにたつ集落。
大きな物音はほとんどなく、耳をすませば小川を流れる水、時たま吹く風の音が聞こえる。
ここは静けさで満ちている。
夜になると澄みきった空気のなか、満点の星空が広がり、満ちては欠ける月が毎日見下ろしている。
寝ていると、鹿のかん高い声が山を下って響き渡る。
超高齢化ているが、無くしてはならない素晴らしい集落だ。
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