旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

ユーコン近づき難し

 

今日は情報収集の日。ユーコンに関する本を読もうと図書館へ行った。約100年前のゴールドラッシュ時代に金に惹かれ、北米大陸ユーコンへ渡った人々の事やアメリカの不況が当時どんなものであったのかが知りたくなったのだ。

手にした本は20世紀のアメリカ人作家・ジャックロンドンの生涯を描いた「馬に乗った水夫」。

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ジャックロンドンとは「海の狼」、「極北の地にて」、「野生の呼び声」などの作品で当時のアメリカ文学に強烈な衝撃を与えた大作家だ。

彼はまた青年時代に一攫千金を夢見てユーコンに渡った、夢追い人の1人であった。そんな彼の一生涯が書いてあるこの本を読めば、その当時ユーコンに渡った人々やアメリカの状況がどうであったのかを少しは知ることが出来るだろう、と思ったわけである。

 

 僕はソファに腰掛けてページをめくっていった。450ページにもなるぶあちぃ本で、冒頭は両親の生い立ちから、まだジャックが生まれる前の話で始まった。

それは僕にとってあまり面白みが無く、読むペースはノロりと緩やかなものであった。やがてジャックが生まれると、いきなり面白みが出てきた。極貧生活を強いられた幼・少年期、そしてその極貧生活から抜け出す為に船を買い取って海賊となり、牡蠣養殖場を荒らし回る青年期。

読んでいる内に僕は、自分自身とはかけ離れた波乱万丈の人生に魅せられ、本に夢中になっていった。

そして・・・あと少し、あと少しでジャックは金を求めてユーコンへの旅が始まるかもしれない!!ついにユーコンへの旅が始まるんだ!読むにつれてそんな高揚感がブクブクと泡立ってきていた。

しかしその高揚感は突然消えてなくなってしまった。

プーンとなにか腐ったような、生臭い臭いが鼻に付いたのである。くさい‼何だこの臭いは‼僕はハッとなり、隣を見た。すると僕のすぐ隣で、わんぱく小僧がきゃっきゃと数体のウルトラマンのフィギアで遊んでいたのである。

よく見ると、靴も靴下も履いてない足は古ぞうきんの様に茶色く汚れ、その足を僕に向けており、臭いはその足から漂ってきていた。

その臭いにより、僕のか細い集中力はいとも簡単にプツンと千切れてしまった。

この小僧は何処から、何故靴を履いていないのだろうか。

臭いと言えば、俺のランニングシューズ。このひと夏ですっかりと臭くなっちまったな・・・そういえばあの靴洗って外に干したままだった、しまわないと。ジャックロンドンの足も臭かったのだろうか?海賊として船に乗っている間、一体どんな臭いがしていたんだろうな・・・。などと臭いにまつわる思いが次から次へと生まれてくる始末。僕はすっかりと上の空となり、心は何処かとんでもない所へ行ってしまった。

だめだ、止めだ!僕は本をぱたりと閉じ、気分を一転する為に全く別のジャンルの本を開いた。

ジョンタ―クの「縄文人は太平洋を渡ったか」という本で、筆者・ジョンタ―クがカヤックで北海道からアラスカを目指し、大陸伝いに太平洋を3000マイル航海する航海記だ。アメリカの西海岸で発見された人骨化石が、日本の縄文人のものではないかという学説が出るや否や、縄文人が日本から本当にアメリカまで行ったのかどうかを自ら実証したいと思いに駆られて冒険に出たのである。

昨日、「今テレビでジョンタ―クって冒険家が出てるんだけど、友磨おまえみたいな奴だな」そう親に言われ、ジョンタ―クとは一体どんな人なんだ?と気になってしまったのだ。

足の臭いは相変わらず漂ってきてはいたがそれにも慣れ、ジョンタークの冒険の放つ魅力に引き込まれていった。気がつけば図書館の閉館時間が迫っていた。

結局本来の目的であったユーコンに辿り着くことが出来ず。足の臭いごときで途切れるか弱い集中力をどうにかせねばと悔い改め、ユーコンにはまだまだたどり着けそうにないなと思う一日であった。