ユーコン川・荒野の旅 ~探し求めていたものが見つかった~
タナナ村を出てから5日間、空は分厚い雲に覆われ、太陽は姿を消した。降りしきる雨に打たれ続けること5日間。最初のうちは何とも無かったのだが・・・テントも毛布も寝袋も荷物が次々と湿り始め、次第に心も湿り始めた。4日を過ぎる頃になると、もう殆どのものが濡れてしまった。荷物も体も心も・・・全て。乾いているものと言えば、過去、喉をからして酷い思いをした記憶位なもので、僕は濡れてヨレヨレになった藁草のように、萎れていった。こんなに雨に打たれ続けたことは過去になかった。こんなに雨を見続けたこともなかった。流れる川の水面に落ちて消えてゆく雨粒を、微かな感触と共に体に落ちて服を滴る水を、眺め、見続けた。テントに打つ音を、土や水面に落ちる音を、聞き続けた。長い、長い間一人、雨とゆっくりと向き合った。雨とは何なのか・・・じっくりと感じ、考えた。深かった。
ある小さな村の20キロ程手前で、川を流れてゆくひもじい濡れネズミの僕を拾ってくれた男がいた。その男は森の中で一人で暮らしていた。(正確には半年間1人、町で働くのが好きだという奥さんがおり、2週間町で働き、終わったら森にきて2週間一緒に暮らし、再び町へ行くという)夏も秋も冬も春も、雨の日も晴れの日も風の日も、その男は森の中で静かに暮らしていた。その男から貰った一杯の温かいコーヒーと、泊めてくれた丸太小屋の中の一夜・・・それらは極上の味がした!
小高い丘の中にある小さなリュービー村は、今までのどんな村よりも美しく、そして居心地が良かった。
そしてリュービー村を去り、白樺の森の中にあった無人の丸太小屋での滞在で、僕はこの旅で探し求めていたものを見つけた!!!!!!その瞬間、海まで行くという目標はすっかりその意味を重要性をなくしてしまった。途方もない開放感と満足感に満たされ、残りの2ヶ月間をこの荒野の中で存分に過ごそう!!!地球よ、ありがとう!
※これを読んでくださった方々へ。抽象的過ぎて何を言っているのか理解できないかと思います。まだ溢れる思いを文にまとめることが出来ないので、お許しください、御免なさい。
タナナから300キロ程下流のガリーナへ到着!
タナナ村を去る。
美しい夕暮れ
錆びて使えなくなったヤカンは、虫除け缶に生まれ変わった。
タナナ村以後・・・ネッツと呼ばれる日本語で何と言うのか分からない、ブヨの様な吸血虫が何十匹と襲いかかってきた。煙で虫を追い払うも、僕も煙で苦しんだ。
一夜を過ごした川岸。
そこは生命にみちあふれていた
熊と僕
オオカミと僕
流れ着いた一本の大木が、その後幾つもの流木をせき止めた。この場所に。
寒い夜、夕食を作ってくれた流木の火の最後の温もりで温まる。
この場所ですぐ近くまできょだいな熊がやって来た。
お気に入りの場所
写真を見返して、ゴミがその存在を教えてくれた。
循環するサケ
雨が来る
今までで最も悪かったキャンプ
誕生日のキャンプ
このあとはどしゃ降り
白樺の皮は、火の焚き付けに欠かせない
大好きなリュービー村
リュービー村で迎えた一夜
北の地で初めて見た猫のキティ
数年前、ドイツ人女性と共にカヌーで下ってきた。
そしてその女性にこのリュービー村で捨てられてしまったそうだ。
不思議な力をもったインディアンの女性の家にて
色んな事を教えてくれた、森の中の無人小屋
はるか下流の前方で老人が僕を待っていた
老人の名はフィル、77歳だ。
川の上で乾杯した
巨大な脚が、フィルと僕の船を結ぶロープだった
静かな支流へそれる
夜中のスプルースと白樺と雲
メモ帳。
僕の字は汚い。
しかし、早く書ける。
どんどん溢れでてくる言葉をこぼさず書き留めるのにこの字体は最適。
小中高の学校時代、先生達に字が汚なすぎる練習をしなさいと言われ続けたが、それをことごとく無視してきた。それで良かった!このままでいい、この字こそが自分が必要とするものであった。
※手紙は丁寧に書きます