旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

ユーコン川・荒野の旅 ~マーシャル村に捕まる~

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ツンドラの茶を飲みながら沈む夕日を家の前で眺める。
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ブルーベリー摘みの歴史が刻まれた手
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村の近くの湖で釣った夕食の魚、パイク
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ツンドラの丘を背に建つマーシャル村
丘は1000メートル程、5度程山頂を目指すも、情けなくも1度も登れたためしがない。

~アラスカ・マーシャル村の朝~
マーシャル村での僕の1日は、水から始まる。
全ての生物の命の源であり、それ自体が生命である水。まだ村が寝静まっている早朝、水タンクをつめ込んだ巨大なじゃが芋みたいな軍用ザックを背に、村の外れにある森の中へ1人静かに入ってゆき、湧き水を汲む。
雨の日も晴れの日も霧の日も、水を汲む。辺りに気を配りながら。ムースや熊が朝、頻繁に出ると村人が言うのである。
同じ道ではあるが、毎日毎日違った世界を見せてくれる!!そして自分自身も毎日変わって行く。昨日は目につかなかった草が今日見えたり、聞こえていた音が聞こえなかったり、森の中へと続く獣道に不思議と引き寄せられる日など・・・。水を汲んで顔を洗い、倒木に腰掛け、動かず辺りを包む空間に溶け込むの。すると頭は冴え、感覚がどんどん研ぎ澄まされて行く。全てのもの、風、石、水、草木、陽光、自分自身・・・全てが生きていると悟る。朝のこの1時間半程?2時間程?の時間が、僕の最も大好きな時間である。
生命の源であるように、これから始まる1日の源である朝も、水から始まる‼
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~マーシャル村での1日の終わり~
マーシャル村での1日の終わりは森の中で過ごす。
日が傾き空気が冷え込んで来る頃、針葉樹の森でトウヒの木々から葉を、ツンドラの野で草の葉を、川岸で一夜を共にしたいと思う流木を幾つか摘み、拾わせてもらう。
森の彼方へ消え行く太陽を、空にほとばしる優雅な夕日を眺め、やがて世界は暗闇に包まれる。僕は小屋に入り、ツンドラで摘み取った葉でお茶を作り、それを飲みながらゆらゆらと燃える炎を眺める。薪ストーブはゆっくりと部屋を温め、ストーブの上に置かれたトウヒの葉は焦げてゆき、やがてほんのりと香りを漂わす。
部屋の中、僕の体の中も森となる。
流木や木々、草のこれまでの過去に、そしてこれからの未来に思いを馳せ、感謝し、極上の空間が、森が出来上がる。
その心地よい温もりのある森の中で、本を読んでもいいし創作活動をしてもいい。考えに耽ったり、何も考えず、その森の空間を楽しんでもいい。何をするにも、森と過ごす空間は最高である!森と、地球の恵みと共に!!!
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自然との対話は僕にとってどんな遊びよりも楽しく、そして飽くことがない。心を空に純粋な気持ちのみで思想や知識、哲学、金も何も要らない。難しい事は何もなく、誰にでも簡単に出来る!そして日を重ねるごとに自然の奥深さが見に染み、染みれば染みるほど、楽しくなる!!!山登りやスポーツは体の老化と共に錆びて行くが、自然との対話は年を重ねるごとに錆びることなく、研がれて行く。10年、20年、30年後はどんな感性で自然の中で過ごしているのか・・・楽しみである!

PS
気がつけばマーシャル村で、もう1週間以上も時が過ぎていた。それほどこの村が気に入ってしまった。居候させてもらっているマービンおじさんの家での僕の仕事は、主に薪集めに水汲み、料理(もっぱら米料理、時たま虎フグの様な凄まじいブルーベリーパンケーキをこしらえる)である。
日を重ねるごとに色んな物が見えてくる。
自然を思いきり楽しむ僕に村人は、村の娘と結婚してここに住めと言う・・・今まで長く滞在した幾つかの村々で言われ続けた言葉・・・日本でやりたいことがあるのだが、日を過ごすうちに何だかそれもいい気がしてくるのである。若気のいたりである。