旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

海亀

先を先行していた仲間が叫んだ。 「あ、海亀だ!!」 その言葉に引き付けられ、僕を含めた後ろをゆく仲間達が集まった。 目に写ったのは、岩に打ち付けられた海亀の死骸だった。 僕らが行くと、群がっていたヤドカリの群がワッと四方八方に散っていった。 それは大地で生まれ、海に生き、そして再び大地へと戻ってゆく命だった。 彼の命には、彼の豊かさが込められている。 海の中で過ごした幻想的であろう幾度の満月の夜。 潮の流れに乗り、泳ぎ、その目と耳と鼻・・五感で体感した数々の世界。 嵐に天敵、何度も何度も危険な目にあったことだろう。 楽しかったことも、感動したことも、悲しくなったこともあるであろう。 ヤドカリ達は海を、海亀を食べていた。 彼のそれら全てを食べていた。 彼が生きて経験し体感した全てがヤドカリ達を介して大地と海に染み込んでいっていた。 一瞬の間にも億万の生死が渾然一体となり動き続けている地球。 地球はそうやって、年を重ねるにつれてその深み豊かさを増してゆくのだろう。 それはヤドカリと海亀の発する命の物語だった。 これだけでも南の島を旅して良かった。 f:id:Yu-Ma:20180531080817j:plain