山の不思議なほこら
山の深みへと続く峠の入口に、ほこらがある。
木々に囲まれ、苔むしたほこら。
師匠がこの山に入る時には、必ず手を合わす場所だ。
そんなほこらに、クルミと栗がいくつか転がっていた。
木から落ちたのだろうか?
辺りを見回しても栗の木も、クルミの木も無い。
誰かが置いていったにしても、無造作過ぎる。
リスにネズミか何かが運んだのだろうか・・・
それを確かめる必要は無い。
証明することではなく、その本質を感じることが大切だ。
誰かがが置いていったにしても、動物が置いていったにしても、その心は同じ思いであるのだろう。
不思議なほこらが山の中で今日も明日もこの先も、雪の中、風の中、月夜の中をポツリと佇んでいる。