旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

雨の忘れ物

 

雨上がりの森を歩く。
雲が空を覆い、木々の葉はすっかり落ち、遠く連なる山々は茶色に染まり、灰色の空気が流れていた。
ほんの一瞬雲が切れ、その隙間から陽が顔を出した。
それはこの日初めて浴びる、陽の光だった。
その瞬間、森のあらゆるところがキラキラ輝いた。
枝に垂れる、雫が陽を浴びて輝いているのだ。
小さな一粒の雫。
その小さな雫の中には、大きな世界があった。
回りを取り囲む広大な山々が映りこみ、光をもたらしていた。
辺りを見渡すと、世界を宿し、輝くそんな雫がそこらじゅうにあった。
再び空は雲に覆われ、陽は消えて、森の輝きも無くなった。
その瞬間にしか見られない世界だった。
もし一日、一時間、一分でもずれていたら、この世界の中に入ることは出来なかっただろう。
ご飯を食べているとき、寝てるとき、本をよんでるとき、人と話していてる時、森では、山では、海のなかでは、この世界では一瞬一瞬命の物語が刻まれている。

f:id:Yu-Ma:20181201171009j:plain