旅する蜂ブログ

奥会津の地球暮らし

~マタギの見習い~ 自然を愛し、地球の詩を書き、奥会津の山奥で素朴に暮らす

白夜の荒野を下る

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落ちかけた陽は空を染め上げ、それは一晩中消えることがなかった。 
黒々としたスプルースの森を隔てて、空と川が向き合っていた。
涼しい風が静けさと共に流れてくる。
フクロウが鳴く森の中から、狼の遠吠えが響いてきた。
その震える声には一言では決して言い表せない、あらゆるものが乗っていた。
川岸で大きなムースが喉を潤していた。
岩の様に逞しい肉体に、輝く空を包んだ水が入っていっていた。
カヌーは漕がず、漕いでしまうのがもったいないほど世界は美しかった。
川の流れに身を任せ、人の手の届かぬ荒野をカヌーはゆっくり流れてゆく。
ずっと、ただひたすら目の前に広がる世界を見、聞き、感じた。
地球は神聖な世界だ。
僕らはその世界の一部であり、その世界で生きていること、何も持たず、無くともただそれだけで幸せだった。
旅した荒野は今でも消えることなく、体の中を流れている。
経験は消えることなく、どんどん大きな川と成してゆく。
若い命を持つものこそ、人に毒されていない原始から続く荒野を一度でいいからたった一人で旅して欲しい!!
生き方も、この地球で生きている意味も、命についても、あらゆることを地球が教えてくれる。