静かな締めくくり
冬至の収穫祭
昭夫さんと共に、冬至の収穫祭。
肥料も農薬も草取りも何もせず、ただほったらかして自由気ままに育った命達。
自らの力で種の殻を破って芽をだし、自分で必要なちからを大地から選びとり、虫に食われながらもびくともせず、たまに僕の愛撫を受けながら、日を浴び、天を目指して伸びていった。
逞しい力、とびきりの瑞々しさでその身はみなぎっている。
彼らを頂き、僕らの生命は彼らの力からなる。
一年で一番日照時間が短い冬至を迎え、今日から日ごとに日が増し、日が地に当たり始めるという。
ひかりを浴びて、世界がこれから上昇してゆく!
上へと上りゆく世界の大きな気の流れに乗り、今日という素晴らしい始まりの日から、運がどんどん開けてゆく!
彼らを食し、運も力も全快である。
数ヶ月前に夏至を迎えて、日照時間が減っていっても特に運は弱ることなく、多くの恵みに出会いに力を頂けた。
体と心は勿論のこと、運も、人生も全て天任せなんかではなく、全て食べ物から飲み物、生き方、日々の一つ一つの行動から、自分で生きて作ってゆくもの。
命の鎧
パートナーが作ってくれた、麻とからむしのズボン。
予想外に広がった、午前中の晴空。
その貴重な一時を逃さぬよう、洗濯。
冬の空から降り注ぐ、温かい陽のひかり。
地を覆う一面の雪がそれを跳ね返し、世界は強烈にひかり輝いた。
地に落ちた小さな種に命を吹き込み、大木へと育て上げてしまうひかり。
全ての命の源であるひかり。
そのひかりを思う存分吸い込んだ、天然素材手作りズボン。
どんなに高価なズボンよりも、これほど履いていて心地いいものない。
これを身に付ければ、日々に一層力がこもり、ひかり輝く活力が生まれ、僕の命を底から高めてくれる。
ものすごい鎧である。
ズボンが乾いた後に空は雲に覆われ、雨と雪が再び世界を包み込んだ。
陽に寄り添って、天の気分のままに流れる生活ほど心地いいものはない。
一時の陽のひかりに感謝し、それを存分に使わせて頂いた。
荒野のオオカミ
命の授かり物
この日、僕らは山の神々から、大きく逞しく強く、そして尊い、2つのシシの命を授かった。
昭夫さんは車をとりに行き、僕は森の中で待つ。
杉の枯れ葉、枯れ木を集め、火をおこした。
徐々に炎が力を増していった。
燃える香りが漂い、パチパチとはぜる音が、雪の森の中に響き渡る。
辺りに温もりがひろがり、手をあてると、冷えきった指先に生気がもどってきた。
彼らの命が僕の中に入ってきた。
炎を眺めながら、さまざまなものが内で渦巻いた。
雪の舞う森のなかで灯る小さな炎は、心も暖めてくれた。
長い時間をかけて生きてきた山の命を、一瞬で燃やす炎。
その炎を、多くの命を宿し、僕らは次を生きて行かねばならい。
焚き火、それは山からの授かった命。